ITS 11 ブログ

日本人に必要な高速道路とは?#1:高速道路は日本に似合わない?!

西川淳

大陸間交通を必要としない、孤立した島国において、本来の目的に添った高速道路が似合わない可能性の高いことを如実に示す、データ比較を計算してみた。いずれも、日本を1としたときに、自動車先進国がどういう割合になるかを表したものだ。

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比率Aは、高速道路総延長距離を国土面積で割った数字を元に計算したもの。Bは、同じく高速道路総延長距離を国民総生産で割った数字が元になっている。
(ただし、各数値の測定年月には若干のズレがあるので、あくまでも参考値としていただきたい)

国土が日本の25倍以上あるにも関わらず、人口は2.3倍(よってGNPも相応)、保有台数は3倍、高速道路総延長距離は12倍というアメリカ合衆国との比較はあまり参考にならないが、ヨーロッパ諸国は日本と国土面積も近い(英国0.66~日本1~フランス1.46)。人口、およびGNP、そして保有台数は日本の半分以下である場合が多いが、それゆえこれらの国々と比較した上のデータが興味をひくと思う。

国の大きさに比べて、高速道路の総延長距離が突出して長いと言えるのが、ドイツだ。イタリア、フランスは日本とほぼ同じ割合である。逆にイギリスは70%の高速道路率だ。

高速道路網が、経済の要諦であることは明白であろう。自動車移動によってもたらされるあらゆる経済活動を思い浮かべれば、納得できるはず。その総体とも言うべきGNPを基準に高速道路の長さを比較してみると、同じ島国の日本とイギリスがよく似たもの(それでもイギリスの方が日本より長いと言えるのだが・・・)であるのに対し、その他の国は軒並み3倍以上の長さである。

考えてみれば当たり前のことではあるが、こうして数字で見てみると、いかに大陸の高速道路が”役立っている”かが判る。走りやすいのも当然か・・・。

もちろん、これは単なる数字遊びでしかない。それ自体に何かを解決する能力はない。以前にも書いたように、そもそも国土の成り立ち、自然環境の問題も大きい。しかし、経済と密接な関係があるはずの高速道路が、いったいどれだけ必要かという1つの目安にはなる。

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