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第2東名の140km/h構想を守れ

岡崎五朗

 東名高速を走っていると、建設中の高速道路を見かけることがあるはずだ。あれは2012年に一部区間の開通を予定している第二東名。計画中の第二名神と合わせ、全線開通すれば全長460㎞に達する高速道路で、総事業費は9兆2000億円! すでに過密状態にある東名高速を補完する新しい大動脈として期待されている。
 注目したいのは、多くの区間が140km/hという、かつてない設計速度でつくられていること。全線6車線に加え、カーブも勾配も緩く、路肩も広く設計されている。ある試算によると、従来6時間40分かかっていた東京~西宮・神戸間を3時間50分で走行できるようになるという。
 第二東名の建設に対して一部から「無駄」という意見が出ているようだが、個人的に日本の最高速度規制は低すぎると思っているから、第二東名の140km/h構想は大歓迎だ。新幹線だって速度を上げることで飛行機との厳しい競争を戦っている。クルマだって同じこと。目的地に早く安全に着けることはとても重要だ。
 ところがこの構想に思わぬところから横やりが入った。警察庁である。「道路公団(いまは民営化されているが)がわれわれに相談もせず勝手に140km/h構想をぶち上げるのはケシカラン」と、いたくご立腹しているというのだ。速度規制は自分たち(実際には公安委員会)が決めることなのに、事前に相談がなかったとへそを曲げているらしい。根回しなく140km/h規格で建設を進めた国土交通省にも問題があるが、警察庁の頭の固さといったらもう救いようがない。いい道路ができたのならぜひ検討してみましょうというのが普通の感覚だと思うのだが……。典型的なお役所仕事である。
 しかし、前述したように第二東名の大部分は140km/hを前提にカーブの少ない設計になっていて、大部分の用地もそれに沿って買収済み。勾配を小さくするため橋脚構造でつくられている部分も多い。大金を投じ、これほどまでに理想を追求した贅沢な道路を造ったのに、へそを曲げた警察庁によって制限速度の140km/h化は空前の灯火になっているという。このままだとうまくいって120km/h、最悪の場合は他の高速道路と同じ100km/hまで抑え込まれる可能性すらある。そうなれば、巨額の建設費の多くをどぶに捨てるようなもの。一部開通まであと6年。いまこそドライバーは立ち上がり、140km/h構想をバックアップするべきだ。お役所を動かすのは政治。政治を動かすのは世論なのだから。

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