コラム

シートベルトに次ぐ救命効果が見込まれる「ESC」!

1.ESCの主な働きと仕組み

ESCとは、lectoronic tabillty ontrol の略で、いま最先端の「横滑り防止装置」のことです。ESCの誕生は1995年。一口でいうと急激なハンドル操作や滑りやすい路面において横滑りを感知し、ドライバーの意思とは別に車両の進行性を安定させるシステムです。さらにESCは一つの装置ではなく、主に3つの機能(TCS・ABS・ESC)からなる統合制御だということです。まず、TCS(raction ontrol ystem)は、発進時や加速時に駆動輪が空転することを感知し、駆動力を制御します。次にABSは、ブレーキ操作時にタイヤがロックし、ハンドル操作が不能になることを制御します。そしてESCですが、よくあるケースとしてはカーブなどを走行中、車両の前方が外側に押し流されるようなアンターステアには、内側車輪にブレーキを掛けます。それとは逆に車両の前方が内側に押し込まれるようなオーバーステアには、外側車輪にブレーキを掛けます。このようにESCは、ドライバーの意思と車両の走行性が一致しないことを複数のセンサーが感知すると強制的にエンジン制御したり、必要な車輪にだけ四輪独立してブレーキ介入させるという優れものです。

JAFユーザーテストで、ESCが持つ3つの機能について、それぞれの作動時と非作動時の走りの違いを複数のESC装着車を使って検証しました。

2.ESCの3つの機能を比較テスト        

「登坂路を使った坂道発進テスト」このテストでは、傾斜角30度の低ミュー登坂路を走行。ESCのOFF⇒ONによる坂道発進を試みました。まず、坂道の途中で一時停車し、OFFの状態から発進を試みたところ、駆動輪が空転し、発進できませんでした。次に、ONの状態から再発進を試みたところ、アクセルペダルの踏み込みに応じてエンジン回転数や車輪の空転が制御され、車両は徐々に坂道を登り始めました。


「低ミュー路を使った障害物回避テスト」このテストでは、低ミュー路を時速40kmで走行。ESCのOFF⇒ONによる複合レーンチェンジを試みました。まず、OFFの状態から障害物回避を試みたところ、最初の障害物を回避した途端、車両は横滑りし、コントロール機能を失い、立て直す術もなくスピンしコースアウトしました。次に、ONの状態から障害物回避を試みたところ、コース侵入直後の横滑りをヨーレートセンサーが感知し、車両は指定速度を維持したまま複数の障害物を回避することができました。


「スキッドパッドを使った旋回テスト」このテストでは、低ミュー旋回路を時速40kmで走行。ESCのOFF⇒ONによる定常円旋回を試みました。まず、OFFの状態から旋回を試みたところ、少しの加減速だけでコースアウトしてしまいました。次に、ONの状態から旋回を試みたところ、エンジン制御と四輪独立したブレーキ介入がなされ、車両は挙動を失うことなく旋回することができました。


              

国産車のESC普及率は、高級車を中心とした10%程度。トヨタ自動車によるとESC装着によって、車両単独事故や正面衝突事故の約3割が低減できると試算しています。欧州諸国の普及率は7割を超えており、さらに米国高速道路交通安全局では、このESCをシートベルト以来最大の救命効果がある装置として絶賛し、2012年を目途に4.5t以下のすべての車両にESCの装着義務化をスタートさせました。

現状のESCの機能は、各メーカー間によって多少の異なりがあり、その名称も「ESC・ESP・VSC・VDC・VSA、etc・・14種類」と様ざま、消費者から見ると普及拡大と合わせ、先ずは名称統一の必要性からありそうです。

 

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