コラム

駆動方式のいろいろと停止距離の関係

~4WD車に止まるための優位性はない!~


4WDでも雪道での制動には注意が必要だ

クルマの駆動方式には、大きく次の3つがあります。まず、「FF方式」です。これはフロントエンジン・フロントドライブの略で、主に前輪を駆動輪として走るタイプのクルマです。次に、「FR方式」です。これはフロントエンジン・リヤードライブの略で、主に後輪を駆動輪として走るタイプのクルマのことです。最後に、「4WD方式」です。これは4フォイール・ドライブの略で、基本的に4輪すべてを駆動輪として走るクルマのタイプです。同じように見える4WD車にも、フルタイム(常時駆動式)やパートタイム(選択駆動式)などのように駆動方式が異なるものもあります。

このような様々な駆動方式のうち、4WDには、2輪駆動を基本とするFF車やFR車と比べると、発進性・走向性・登坂性などに、ある程度の優位性が認めらます。本来4WD車は、オフロードタイプとして開発され、最近のミニバンやRVブームのお陰で、家族全員が乗れるレジャー志向の強いクルマとして人気があり、郊外以外にも都市部でも、その販売台数を伸ばしているようです。

これらのことから、いったん都市部に降雪などがあると、4WD車に乗るドライバーは本来の特性を発揮できるとばかりに、交差点付近でまごつくFF車やFR車などの二輪駆動車を尻目に、脱兎のごとく駆け出して行くのです。確かに4WD車には、走る(発進性)、曲がる(コーナリング性)、登る(登坂能力)などの走りに、優位性は認められるものの、「止まる(ブレーキング)」という行為には、4WD車としての優位性はないのです。

つまり、ブレーキ性能を左右する要素とは、「車の速度」、「車両重量」、「路面状況」、「タイヤの性能」、「ドライバーのブレーキを踏む能力」などで、この中に駆動方式は含まれないのです。4WD車は雪道でもスムースに走れるだけに、止まるときも大丈夫だろうと思い込みかちですが、走りがいいからといって速度を上げ過ぎると、思わぬ追突事故の原因になることがあるのです。

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