なぜ!交差点で事故が多発するのか?
限界がある人間のチェック能力
データによると日本における事故件数の上位は、1位「追突事故」、2位「出会い頭事故」、3位「右折事故」、4位「左折事故」へと続きます。1~2位は年毎に入れ替わることもありますが、その傾向はあまり変わりません。これらの発生場所を見るとその多くが交差点付近で起きていることがわかります。つまり交差点付近は事故多発地帯なのです。では、なぜ交差点付近では事故が多発するのでしょうか。
その原因の一つとして、私たち人間には、それぞれに生まれ持った「認知能力」があります。認知心理学では、これを「回路許容量(チャンネル・キャパシティ)」と呼ばれています。人間の脳が瞬時に分類できるのはだいたい7種類までで、それ以上になると分類できにくくなるようです。
クルマを運転中、比較的閑散とした交通量の少ないところから、急激に交通量の多い交差点付近などに差しかかると、今まで少なかったチェック項目が急激に増加します。その中から優先順位を付けながら運転に必要な項目を「認知」や「判断」することになるのですが、未熟なドライバーほど「自分が被害者になりそうな危険因子」からチェックする傾向にあるようです。そのため交通弱者(バイク・自転車・歩行者など)を見落とすことで、加害事故へとつながるのです。
さらに、目に見えたものだけをチェックしていては、すべてをカバーしたことにはなりません。見えない危険因子(死角)を見ることが「危険予知」であり、ドライバーとしての本来の仕事(能力)なのです。ドライバー(車)同士には、お互いのミスをカバーしょうとする回避能力があるので、よほどのミスが重ならない限り車同士の事故には結びつかないものです。このようなことから交差点付近で事故に遇わないためには、まず加害事故の要因となる交通弱者から優先的にチェックする習慣を身に付けることです。そして交差点付近に差し掛かったら「事故の多いところにきたのだ!」という認識を持って運転することです。