交通事故は、なぜ!どうして起きるのか?
事故発生における人的要因の図式
いったん事故が発生すると、よく職場内や家庭などで「○○さんは運転が下手だから・・」などと、事故を起こしたその人の運転の上手・下手について論議することはありませんか。はたして本当に運転技術だけが事故原因となり得るのでしょうか。事故発生における人的要因の図式によると、事故が発生するまでには、大きく3つのプロセスがあるといわれています。
1つ目は、事故の「直接的原因(ドライバーの責任)」です。クルマの運転行動とは、「認知」「判断」「操作」の繰り返しです。この中で「運転のうまさ」とか「安全運転ができる」といえば、誰しもが運転操作などの技術面を重視しがちですが、事故データーによると事故の約9割は、クルマの前方や周囲をよく見ていない「認知の欠如73.1%」と相手の立場になって正しく判断していない「判断のミス18.8%」によって起きています。つまり、運転技術や操作ミスが原因となる事故は残りの8%程度しかないのです。
2つ目は「中間的原因(運転適正)」です。運転中の「認知の欠如」につながるような、前方不注意・わき見・話に夢中・運転中の携帯電話などは、運転技術というよりもドライバー自身の考え方(不安全行動=横着・怠慢・自分勝手・わがまま)によるものです。「人の命は尊い!」、「事故を起こしたくない!」という気持ちを前面に表し、クルマの周囲をよく見る、相手の立場になって判断する、といったような気持ちが運転行動となって現れることが大切なのです。
三つ目は「事故の遠因(交通環境)」です。交通環境には職場環境と家庭環境があります。企業の中には、事故を起こしやすい職場(職業)と、起こしにくい職場(職業)があります。経営の安全性から製品の安全性まで、職場環境から交通安全まで、安全はすべてに共通で、安全な職場で育った従業員が、家庭でも安全な家族を育てることになるのです。