コラム

見ることが安全運転のすべて! その2

バックミラーの落とし穴

バックミラー(ルームミラーやドアミラー)は、運転には欠かせない大切な情報源です。しかし、バックミラーを通じて後続車の位置や距離を瞬時に判断するのはなかなか難しいものです。そこでバックミラー越しの距離感と実際の距離間では、どれくらい異なるものなのか、またモニターの運転経験年数によって、その差が生じるものなのかについて複数のドライバーで検証しました。このテストは、停止したクルマの運転席から、ルームミラーとドアミラーの双方を使って後続のクルマと自分(車)との距離を判断してもらうものです。

その結果によると、いずれのドライバーにも、ドアミラー越しによる距離感と実際の距離間には差があることが判りました。全般的な傾向として、初心者ドライバーほど実際より近くに物事を見る傾向がありました。一方のベテランドライバーでは、実際より遠くに物事を見る傾向にありました。さらにドアミラーで見た方が、ルームミラーで見た距離感よりも遠くに判断する傾向が見られました。極端なドライバーは、距離の差が30m近くにもなることがありました。これはドアミラーで見るより、ルームミラーで見る方が実際より小さく見えるために起きる錯覚と考えられます。最近のクルマのバックミラーは、日増しに改良されていますが、誤差が生じる可能性には変わりありません。

今回のテストでは双方のクルマが停車した状態で確認しましたが、実際の交通状況ではお互いの車両が動いていることから、その判断はさらに難しくなり、誤差も生じやすくなるのです。遠くにあるものを近くにあると判断する分には、さほど危険はありませんが、危険なのは近いクルマを遠くにあるものと信じ込んで、車線変更をすると後続車との大事故にもなりかねません。

さらに、ミラーにも死角があります。追い越しや車線変更をする際には、ミラーだけに頼らず首を横に振って直接自分の目で確認することが大切です。ミラーばかりに頼った運転をしていると、思わぬ落とし穴が潜んでいることもあるのです。



ページトップへ